NEVER GIVE UP! 海外でパイロットへの道 IN NEW ZEALAND
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「パイロットになりたい」と日本を飛び出し10年目にして夢を掴んだ男の軌跡

 第11話 念願のエアラインパイロット 2008年〜



 2008年4月、ついに夢を叶え、エアラインパイロットとして入社することとなった。
全く新しい世界に入っていくような感じで不安の方が期待より遥かに大きかった。

NZの各空港にあるクルー専用の控え室には、「今月の新人パイロット」と題し、新入りパイロットの顔写真と経歴がA4の紙に書かれ、掲示板に貼られていた。

何気なくその文を読んでいると、私の紹介文だけ他のパイロットより1行多かった。

「He is working for a pink diamond!」

面接の時に話したのがよほど印象的だったのだろう。

その記事が掲載されてから、私のニックネームはしばらくの間、ピンクダイアモンドだった。


入社後、制服合わせ・事務手続きを行ってまもなく、グランドコース、そのままなだれ込みでシュミレーターを使ったトレーニングが始まった。

シュミレータートレーニングは以前に噂には聞いていたが、とてつもなく忙しい訓練でSOPを徹底的に極短期間に叩き込まれる。

ホテルに帰っても、そのホテルに紙に書いた計器板を前に紙(カミ)レーターをしていた。計器飛行は当たり前に出来て当然、SOP通りに出来て当然という教官のスタンスでトレーニングするので訓練に追いつくのが精一杯だった。

訓練最終日にはチェックライドがあり、同期とお互い助けあいながら合格した。

その日に飲んだビールの旨かったこと!この一杯のビールのために生きているのではないだろうかと思った。

長いようで短かったシュミレータートレーニングの終了後、今度はNZ国内中にいるトレーニングキャプテンの赴任先に赴き、実機によるトレーニングが始まった。

実機はやっぱりシムと違い、微妙にシムの計器と違っていて戸惑ってしまった。

実際のオペレーションは飛行機の中だけでなく、地上スタッフとのやり取り、ディスパッチャーとのやり取りなどが入り、???の連続だった。

また、今まで飛んできた教育飛行とは全く違って、天候がいくら悪くても時間通りに運行しなくてはいけないためフラストレーションも大きかった。

こんな私と一緒に飛んでくれたキャプテンはそれ以上のフラストレーションだったことだろう。

実際のオペレーションに入るとやっぱり今までの飛行経験が強く出てきたように思える。

飛行機の席について、次の空港で下りるところまで瞬時に頭の中で描けるようになった。
だから飛行中に、今何をしなくてはいけないとか、優先の仕事は?どうやったら優位になるか?などと飛行機そのものの操縦ではなく、全般的な事が見えてきたのだ。

ただ、飛行機の操縦自体は難しかった・・。
スピードの違いには本当に手を焼いた。
可能な限り短時間で飛行を終わらせるため不必要な減速を避け云々・・。

トレーニング中はホテル暮らしで帰りも夜遅くなる事が多く、ご飯はハンバーガーやパイなどになる事が多かった。

日本人の私はこの食生活で結構やられてしまった。
やっぱり、ご飯と味噌汁、お魚が食べたくなった!

慣れない機体でのトレーニングのストレスに加え、油っこい食生活が続き、肉体的にも精神的にも辛い時期が続いた。

こんな生活も無事晴れてファーストオフィサーとしてチェックアウトすることでようやっと終止符を打つことができた。


そして現在、NZ国内を飛び回る日々を送っている。

しかし、まだまだ自分の思い描くパイロットにはなっていない。
どんどんステップアップしていこうと思う。


ニュージーランドのエアラインに就職する為には、とにかく飛行経験を貯めることである。

飛行経験の超インフレ状態のここニュージーランドでは必要最低限なのだ。
会社自体が速即戦力になる人材を必要とし、雇った以上はすばやく訓練し実際のオペレーションで会社に貢献してもらいたいからだ。

自社で基本トレーニングを積ませる時間も金銭的余裕もないのである。


あと入社してから分かったことだが、女性パイロットがとても多い。
(しかも美人が多い?)女性キャプテンもたくさんいる。

日本ではまだまだ少ない女性パイロットだけど、ここNZではパイロットに性別は関係ない。
又、年齢制限もなくそこも日本とは全く違う。

ここ最近は、海外を視野に入れてパイロットを目指される方が増えてきた。

しかし、どうやってなるかとか計画そのものの具体性が乏しすぎて不安を覚える。

海外でパイロットになるということは、日本から見るととても魅力的に聞こえ、また未知の世界への過剰な期待感もあり、いかにも誰にでもチャンスがあるように見えるものだ。

ただ、そのチャンスを拾うことは容易ではなく、夢を夢として漠然として捉える貧弱な想像力ではなく、夢を具現化して行く想像力、実行力が必要になり、パイロットのスキルを身につけていくより遥かに大変な「勉強」を積んでいかなくてはいけないと思う。


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