NEVER GIVE UP! 海外でパイロットへの道 IN NEW ZEALAND
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「パイロットになりたい」と日本を飛び出し10年目にして夢を掴んだ男の軌跡

 第6話 ステップアップの話 2003年以降



ニュージーランドでエアラインパイロットになるには、日本とは方法が違います。

日本の場合、航大や自社養成から直接航空会社に応募してパイロットになれる。
つまり事業用・計器飛行証明取得後すぐにパイロットになれる。
総飛行時間にしたら300〜400時間程度。

しかし、ニュージーランドの場合は、ライセンス取得後、インストラクターやチャーターパイロット、観光フライトなどをして飛行経験を積み、やっと航空会社の応募条件となる。

ニュージーランドの国内線パイロットの最低応募条件は以下の通りです。

●総飛行時間1500時間以上
●双発飛行時間500時間(機長時間)
●ATPLに関わる学科試験を合格している事
●ガスタービン学科試験を合格している事
●計器飛行方式による飛行での経験
●乗客を乗せて飛ぶATO(Air Transport Operation)の経験

同様にニュージーランドの事業用ライセンス・双発計器飛行証明、永住権を保持している事は必須。

以上であるが、一見簡単そうに思えるかもしれない。

しかし、これはあくまで応募書類を受け付けてくれる最低条件で、実際に面接に呼ばれるにはこれ以上の経験が必要になる。

しかしこれも時と場合により、例えばパイロット不足の場合、上記条件を満たすパイロットが少ない為、これ以下の条件でも採用されることがあるし、パイロット過剰の場合、それと逆の事が起こる。

その年のパイロット景気によって雇用条件も変化するというわけです。

ニュージーランドの場合、チャーター・観光フライトなどのGA(General Aviation)は非常に少なく、双発時間・計器飛行方式による経験の蓄積は非常に困難です。

それゆえ、教官職からエアラインパイロットになる人が非常に多く見られます。

では、ニュージーランドでインストラクターになりさえすれば簡単にエアラインパイロットになれるかというとNOである。

インストラクターにもステップがあり、
Cカテゴリー・Bカテゴリー・Aカテゴリーと3種類のグレードがあります。

Cカテゴリーは最初のインストラクターのカテゴリーで、経験を積んでBカテゴリー、さらにはAカテゴリーと進んでいきます。

どこの学校・訓練施設でも双発教育証明はBカテゴリーもしくはAカテゴリー保持者でないと指導を許さない学校がほとんどである。

またニュージーランドでは双発機が少なく、どこの学校も1機しかもっていないところがほとんどで、学校によっては双発機を持っていない所も多数あります。(私の母校は4機所有していました。)

よって双発教育飛行証明を取得し、仕事として乗っているインストラクターは、学校に2人か3人程度しかいません。

またさらに計器飛行証明を教えるインストラクターになるにはさらに難しい。

実際に着計器飛行方式でチャーターフライトもしくは自費で経験してきたインストラクターに限られてくる。
(私は、学校の仕事としてエマージェンシーのドクターをウエストコーストに運んだり、急ぎの荷物を運ぶフライトなどをして飛行時間を稼ぎました。)

つまりCカテゴリーのインストラクターになって、単発機で経験を積み、Bカテゴリーのインストラクター試験を受けて合格し、さらに単発機で経験を積み、双発教育飛行証明を取得。それから計器飛行方式で経験を積み、そこから計器飛行証明を教えるインストラクターになる。

私の場合このステップに約3年を要しました。

インストラクターの数が多いと、先に始めている先輩達に優先権(シニアリティー)があるので、新人インストラクターはさらに取得に時間がかかる。
人によっては5〜10年かかる人もいる。


どうですか?これだけのステップを一つ一つクリアしなければニュージーランドではエアラインに応募すら出来ません。(皆さんにはお先真っ暗に見えてしまうかもしれませんね?)

でも、私の場合このステップアップは非常に面白い時期でした。

ただ単に飛行時間を積むだけでは惰性フライトしてしまいがちで、目標があったおかげで、1回1回のフライトに気合が入り、失敗したフライトを振り返り、「今度はああしよう。」とか「こうしよう。」など常に考えていたからです。

小学生の時にプラモデルを作っていた時と同じ感覚。
作っている時が一番楽しい・・・・。

また毎年行われるインストラクターのチェックライドで「去年よりずいぶんうまくなった」と試験官に褒められればさらに嬉しかった。

私の周りのエアラインパイロット達も、この時期が一番パイロットとして楽しかったと言います。

しかしここで書いた事はまだほんの入り口で、日本人でエアラインパイロットを目指す私にはまだまだ困難がありました。
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